春を健康に過ごす秘訣は、五臓のひとつ“肝”の機能を安定させることです。
中国の古典『黄帝内経(こうていだいけい)』にも“肝主春(肝は春をつかさ
どる)”とあります。
肝には大きく分けて2つの役割があります。
① 漢方で生命を維持するのに基本となる気・血・水を全身に巡らせる。(からだの様々な部位が順調に働くように調節をします。血管や消化器、心拍、呼吸などを調節する自律神経の働きも肝の働きに含まれます。)
② 血を蓄え、必要とする部位に必要な量を分配する。(例えば、胃腸は食後、食べ物を消化するために動くので、たくさん血が必要。骨格筋は身体を動かすときに血液が必要。色々と考えている時は、脳に血液が必要。寝ているときは、血は肝に戻って精神を安定。)
肝に血が十分にあると、からだの様々な部分の機能が正常に保たれやすく、また精神的にも安定しやすくなります。
肝の血が不足すると、不眠、耳鳴り、手足の震え、けいれん、皮膚の乾燥、痒み、爪が割れやすい、ドライアイ、涙目、夜盲症などの症状が現れます。肝の気血水を巡らせる働きが亢進すると、イライラ、うつ、食欲不振、性欲減退・亢進、動悸などの自律神経失調症のような症状が現れます。
特に春は大地の気が上昇する季節で、肝の働きが影響を受けやすい季節です。肝の血を十分に補って、気血水の巡りを良くするような食事や習慣を心がけるようにしましょう。
☆ 食の養生
1) 肝の働きを整える
かつお、しじみ、あわび、あさり、わかめ、竹の子、うど、クレソン、わらび、ごぼうなど
2) 香りでストレスを発散
そば、みかんの皮、みつば、みょうが、大葉、春菊、ミント茶、ジャスミン茶など
3) 肝の血を養う
レバー、ごま、ひじき、うなぎ、ブルーベリー、なつめ、クコの実など
4) 春に上昇しやすい、肝の気の上昇を抑える
酢の物、いちご、レモン、梅干し
☆ 生活習慣での養生
なんとなく憂うつ、イライラする、そんな気持ちを感じ始めたら、それは小さなこころの不調のサインです。ストレスだからとあきらめず、食事や生活習慣を見直してこまめな改善をこころがけましょう。のんびりと日々を過ごすようにして、いつも明るい気持ちでいられるようにこころがけることが大切です。